宇治抹茶の品種
日本で栽培される茶の品種は現在100種類以上あるといわれています。
ここでは、京都府南部で碾茶用に栽培されている代表的な7品種をご紹介します。
宇治品種
宇治地域の在来種の中から選抜、育成された品種であり、宇治抹茶の味わいに大きな影響を与えています。
あさひ Asahi
- 育成年:1954年
- 育成者:平野 甚之丞
高値で取引される宇治抹茶の最高峰の希少品種です。茶の品評会への出品用として利用され、多くは流通していません。葉が薄く大きいため、玉露のようなモミ茶には向かず、もっぱら碾茶用の品種となります。
茶摘み期間が短いため収量がでませんが、色付きが良く、まろやかで上品なうま味があります。新芽の香りには信じられないような素晴らしい芳香があります。
ある農家は、手をかければかけるだけその努力に応えてくれる品種であると話しています。
さみどり Samidori
#100 SAMIDORI HAND-PICKED 100G
- 育成年:1954年
- 育成者:小山 政次郎
やや晩生で摘採期間が長く収量が多いため、好んで栽培され、宇治品種の中では最も栽培面積が広い品種です。碾茶だけでなく玉露にも利用されます。
冴えのある鮮やかな色合いになり、華やかな芳香と、宇治の品種特有の強いうま味が感じられます。
うじひかり Ujihikari
#101 UJIHIKARI SINGLE ORIGIN 100G
- 育成年:1954年
- 育成者:京都府茶業研究所
あさひと同じく茶摘み期間が短く、収量はやや少ない。しかし、碾茶でも玉露でも高い品質が期待できる優れた品種です。
淡い緑色が特長で、渋みのない上品なうま味に仕上がります。
ほうしゅん Houshun
- 登録年:2006年
- 育成者:京都府茶業研究所
宇治地域における新しい品種ですが、栽培地域はまだ広がっていません。極早世で玉露にも碾茶にも優れた品種です。
他の宇治品種同様に高品質で、さみどり、うじひかりと同程度に評価されているため、これから増えていく品種です。
宇治品種以外
全国で栽培される品種ですが、宇治地域で碾茶用に利用されている品種です。
やぶきた Yabukita
- 登録年:1953年
- 育成者:杉山 彦三郎
煎茶として適性のある品種ですが、栽培面積が広いため、用途転換によって玉露や碾茶の栽培にも利用されているケースが多くあります。
日本の栽培品種のうち約70%がやぶきたであり、宇治品種を含めて多くの品種が栽培される宇治地域でも60%を占める存在感のある品種です。
被覆栽培をしてもクロロフィルの増加に限界があり、おくみどり、さえみどりに比べて色付きは良くないですが、総合的なバランスは優れており生産量も多いので安定感のある品種です。
おくみどり Okumidori
- 登録年:1974年
- 育成者:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
「やぶきた」と「静岡在来16号」を掛け合わせて育成された晩成の品種です。
その名の通り、緑色の良さが評価される品種です。味わいは、主張し過ぎず、すっきりしていて後味が軽く仕上がります。個性が強い香味ではありませんが、欠点やくせがなくバランスが良い品種です。
さえみどり Saemidori
#103 SAEMIDORI SINGLE ORIGIN 100G
- 登録年:1990年
- 育成者:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
「やぶきた」と「あさつゆ」を掛け合わせて育成された早生の品種です。九州で多く栽培されています。
碾茶専用の品種ではないですが、被覆特性があり、碾茶や玉露にも向く品種です。うま味があり、宇治地域でも栽培されるようになりました。まだ栽培面積は多くありません。
おくみどりと同じく、色が鮮明な緑であり「冴えた緑」という意味でと名付けられました。くせがなく上品なうま味や甘みがあるのに加え、新鮮な覆い香が感じられます。
生産量が多い品種ランキング
京都府のみのデータになりますが、ランキングは以下の通りです。太字は今回説明した品種を表しています。
宇治品種は8品種が知られています。
- やぶきた
- おくみどり
- さみどり(宇治品種)
- ごこう(宇治品種)
- あさひ(宇治品種)
- うじひかり(宇治品種)
- こまかげ(宇治品種)
- さえみどり
- さやまかおり
- ほうしゅん(宇治品種)
- めいりょく
- うじみどり(宇治品種)
- てんみょう(宇治品種)